勉強が得意になるには抽象化する力はとても大事です。これまで学んだことを抽象化し、まとめとして頭に入れておくことで、次に問題として出題されたときに、素早く対応できます。また、抽象化できると、それまでバラバラに見えたものがひとつの考えでまとめることができます。
そこで今回は勉強ができる人たちが行なっている抽象化する力をまとめておきたいと思います。
抽象化とはどういうこと?
ところで、そもそも抽象化とはどういうことでしょうか。抽象を辞書で調べると以下のような定義になります。
事物からある要素・側面・性質を抜き出して把握すること
物事の大事な要素を抜き出すことで、内容を把握することができる。これが抽象化の最大の利点です。
例えば、筆算も抽象化した考えです。例えば、236×494のような3桁の掛け算を考えるとき、その答えをいちいち覚えることはしません。別の3桁×3桁の数も個別に答えを覚えるわけではなく、筆算を使えば全て解けるということさえ理解しておけば答えを出すことができます。
公式と呼ばれるものも抽象化した考えと言えるでしょう。例えば二次方程式の解の公式は、どんな二次方程式でも解けるやり方です。なのであらゆるものを解の公式で解くことができます。抽象化した考えを理解することで、答えられる問題が爆発的に増えるわけです。
公式でなくてももっと大きな考え方も抽象化と言えるでしょう。例えば一次関数はその直線が通る2点が分かれば解けるというのも抽象化ですし、例えば、化学的な計算問題が出てきた場合、比の考え方さえ理解しておけば難しい問題になっても解くことができるというのも抽象化です。
その他の科目でも、例えば地理だとその地域の特徴を理解することで答えにつながっていきます。いきなり全てをバラバラに言葉だけ覚えようとすると、覚える量も増えていき、大変ですが物事を抽象化していき、大枠としてこれを知っておけばいいというものを見つけると理解が早くなります。
英語で言えば、3人称・単数・現在形の時には動詞にsをつけるというのも抽象化です。”he”でも”she”でも”Tom”でも”a cat”でも”this house”でもこのルールが適用されれば全て同じです。抽象化した考えを理解することで、覚える量も大きく軽減できます。
抽象化すると何がいいの?
抽象化すると、勉強効率が一気に上がります。
人は物事を一つずつ覚えていくと大変です。例えば九九は覚えられますが、3桁×3桁の掛け算を全て覚えるとなると膨大な能力と時間が必要です。ただ、筆算するということを理解しておけば3桁×3桁は解けるようになるので、一気に解ける問題が増えていきます。究極的に言えば、勉強で必要な全てをまとめた抽象的な内容を覚えておけば全ての問題が解けることにつながります。(流石に現実的には厳しいですが)
どうやって抽象化するの?
ではどうすれば抽象化する力が身につくのでしょうか。
実際、子どもに「抽象化したほうがいいよ」などと言っても身につくものではありません。言葉で伝えられただけで抽象化できることはないです。
大切なのは子ども自身が色々な問題を解く際に、「これ前にもやったことあるかも」とか「別の単元でも同じことしてなかったかな」と気付くことです。一言で言ってしまえば、共通性に気付くことが大事になります。
具体的な問題をただ解いて答え合わせして終わりではなく、そういえば前にやったあの問題と同じことやっているなと感じる。同じようなこと前やったことなかったっけと気づく。「今までと共通なところはないかな」と常に頭に入れながら解いていく姿勢が必要です。
ちなみに逆もあって、これまでやってきたことと何が違うのかと理解するのも大事です。例えば英語では、be動詞の文章は否定文の時、”not”はbe動詞の後ろにおきます。一般動詞だと一般動詞の前に”don’t”や”didn’t”をおくことになります。位置が違うということを意識することで違いを明確化できるわけです。逆に一般動詞だけの区別なら”don’t”や”didn’t”、”doesn’t”など単語は変わりますが、置く位置は一緒です。ここを共通だと気づくことで一般動詞の形を理解できます。
これらの作業を完全に子ども任せにしたらいいわけではなく、「これって前に似たやつやらなかった?」などと聞いて促していくことで、共通性を見出そうとする姿勢を作っていくことは可能です。
抽象化できるように、
・前に似たことやったことない?
・さっきの問題とどう違う?
・これなんでこうなるか説明してみて
などの声掛けをしよう
ちょっとした声かけでも子どもの姿勢は変わるので、意識して声をかけると良いですね。
抽象と具体の行ったり来たりが重要
そして、抽象化するには、抽象だけでなく具体化も実は大事です。例えば、3人称・単数・現在形の時には動詞にsをつけると言われても、これだけでは分かりません。そこで、具体的な問題を解いていく中で抽象的なルールを理解していきます。また、できるだけ抽象化したものを自分の言葉として発することも大事です。どうしても頭の中だけで理解している状態だと実際の問題で何をしたら良いか迷うことがあります。抽象化されたルールは自分で言葉にしてハッスルことができる状態に持っていくことが理想です。
ちなみにこれまですでに見てきていますが、この文章も抽象的な話題をした後で、具体例を多用しています。結局抽象化だけでは理解できないので具体例と抽象化を行ったり来たりしながらルールを理解しておくことが大事になります。
科目によっては具体例をたくさん出した方が良いものもありますし、逆に抽象化されたルールをしっかり頭に入れておくほうが良いものもあります。どちらを重視するかというものでなく、バランスをとって理解していくことが必要です。
抽象化して勉強効率を上げていこう
この抽象化する作業を自然にできる子もいます。ただ苦手な子は簡単にできません。その場合は保護者の方や塾でうまくフォローしてあげる必要があります。ちょっとした声掛けで子どもは大きく変わる可能性があります。抽象化を意識できるように導いていきましょう。

